Visual Basic 初級講座
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第54回 これからの展望

初級講座の最終回です。今回は技術的な話はまったくありません。現状認識と今後の学習指針について説明します。

概要

・初級講座を終えたプログラマは日本の全プログラマの上位50%に入る力があると思う。

・今後は積極的にいろいろなプログラムを作っていくと良いでしょう。

・MSDNライブラリを読みましょう。

・Windows Developerマガジンを読みましょう。

・VBを通して論理的な思考力を養い、人類の平和と発展に寄与しましょう。

 

1.現状認識

 

初級講座のすべてに目を通したと言う方はほとんどいないと思います。しかし、飛ばし飛ばしでも一通り目を通したと言うのであればそれなりの成果はあることでしょう。

初級講座の何がどこに書いてあっておおよそどういうプログラミング技法があったかということがわかっていれば合格です。

何がどこに書いてあったか覚えていればいつでも初級講座に戻ってきてその部分を見ることができますから、それはほとんどあなたの知識の一部であると言っても過言ではないと思うからです。

 

このようにして初級講座を終えた方はどのくらいのレベルに達しているでしょうか?

ずばり、「結構すごい」プログラマのレベルに達していると思います。「結構すごい」ではわかりにくいかもしれませんが、私の感想だと日本のプログラマの上位50%に 入るくらいです。

意外なことにプロのプログラマの多くは基本的な知識がなく、クラスの作り方もちゃんとわかっていないプログラマは珍しくありません。その代わり彼らには経験によるスキルと、実直なテストによって安定したプログラムを作り出す能力があったりしますが、技術的な知識レベルはそれほど高くありません。

ですから、みなさんは知識的にはプロのプログラマに匹敵するものと私は考えています。

とはいっても、上には上がいてシステム全体を設計したり、ライブラリを作成したり、テクニカルな部分を担当したり、難しいアルゴリズムを実現したりする上級プログラマも確かに存在しますのでここで安心してしまってはいけません。

それに、初級講座ではデータベース系の知識はほとんど扱わなかったので、ここだけは弱点です。

 

2.今後の展望

 

2−1.プログラムを作りましょう

次に今後の学習の進め方について説明します。

初級講座を終えた後は、自分でどんどん作りたいプログラムを作っていくことをお勧めします。いろいろなところで苦戦して、本を見たりインターネットを見たり、一生懸命ヘルプを読んだりすることになるでしょうが、そういう作業を繰り返していってメキメキとレベルアップしていくことと 思います。

とりあえず、作りたいプログラムがない人はプログラムでお金儲けをしましょう。たとえば、フリーウェアやシェアウェアをおいてあるサイトとして有名なVectorでは、カテゴリごとに人気順にソフトが並んで表示されます。このとき上位に来るソフトを見ればお金が稼げるソフトの参考になりますので、実際に自分で作ってVectorにアップロードしてみて下さい。ただし、「マネ」は駄目ですよ。

 

2−2.今後の学習素材

純粋な勉強の素材としては引き続きVisual Basic 中学校を利用していただければ私としても嬉しいのですが、中級講座にまったく記事がない現状では他の方法で学習した方が良いでしょう。

中級講座も順次執筆していく予定ではありますが、初級講座の完了に5年半かかったことを思うと当分充実した中級講座は期待できそうにありません。

しかし、世間にはVisual Basic 中学校以上にすばらしい学習の素材がたくさんありますから、積極的に活用してみて下さい。

まず、第一に私が推薦するのはMSDNライブラリです。入門講座・初級講座を通して何度か書いていますが、MSDNライブラリは単なるヘルプではなく、さまざまな技術的な解説記事やチュートリアル・サンプルが収録されています。これほどの宝の山を見逃すことは考えられません。

どこを読んだらよいかわからないときは、コーヒーでも飲みながら「目次」を適当に開いてどんな記事があるのかゆったりと見てみて下さい。

他には雑誌や書籍も有用です。雑誌や書籍に関しては直接本屋に言ってみてみたほうが良いと思いますが、私のお勧めは「Windows Developerマガジン」です。月刊誌ですから定期的に購読すればどんどんプログラムに詳しくなっていきます。

少しくらい難しいと感じても最初は思い切って1冊買ってみて下さい。

私は「Windows Developerマガジン」の前身である「Visual Basicマガジン」を購読していましたが、毎月発売日が待ち遠しいものでした。一番最初に買ったときは90%の記事が理解不能でしたが、3年くらい買い続けているうちにほとんどの記事が「知っていることばかり書いてあるなぁ」と思えるようになりました。

後は、お手軽にWebサイトを利用してみるのもよいでしょう。検索するといろいろでてきますが、マイクロソフトの公式サイトでもいろいろな企画があって学習の大きな援けになりますので是非見てみて下さい。「300 秒でズバリ !!」や「10行でズバリ!!」などの企画はシンプルでためになってなかなか好きです。

 

2−3.今後の学習の方向

学習の方向性としては一般的な知識では、「オブジェクト指向」と「.NET Framework」については必ず勉強しておくことをお勧めします。これらは中級講座で扱う予定です。

そして、それと並行して一般的なプログラムだけではなく、興味のある範囲で専門的なプログラムの知識を広げていくとよいでしょう。たとえば、データベースですとか、Webアプリケーション、ゲームなどです。

これらのトピックはどれも奥が深くなかなか大変ですが、そこそこでもマスタすればかなりのスキルレベルと言って良いものです。

Visual Basic 中学校でも取り上げて行きたいのですが、すべてを網羅することは到底不可能ですので、個人的にいろいろ探ってみてください。

それから、他のプログラム言語にも手を出してみて下さい。特に非.NET FrameworkとしてVC++は少しでもいいのでやってみることをお勧めします。VC++は.NET Frameworkを使ったManaged C++というモードもあるのですが、.NET Frameworkを使わないネイティブなVC++をやってみてください。

VB以外の言語の基本を知ることによって逆に浮き彫り的にVBの知識が増えていくと思います。気に入ったらVBとVC++の二刀流になるという手もあります。この二刀流は お互いの弱点を補い合う組み合わせですからかなり強力ですよ。

 

3.最後に

 

VBの話ばかりしてしまいましたが、VBを勉強すると言うことは、VBを通して論理的に考える力を養うことでもあります。特に学生プログラマはVBの表面的なことではなく、むしろこちらの意味の方を重視して欲しいくらいです。

VBはまだまだ将来もバージョンアップされる予定ですし、当分は主要な言語の一角を占めるでしょうからVBの知識は大いに役に立つことでしょう。しかし、論理的に物事を考える力の方はそれ以上に応用範囲が広く、長持ちする能力となるでしょう。

ですから、VBを使うときもいきあたりばったりに適当にプログラムを書いて、一応動いているみたいだけど中身がどうなっているかは全然わからないというスタンスを取るのではなく、構造をきちんと理解し、細かい技術的なことで不明なところがあるとしても論理的なプログラムの流れは把握するようにしましょう。

 

初級講座はVB7(VB.NET2002)のベータ版が出た頃から執筆をはじめ、5年半を経てようやく完成しました。途中には執筆を長い間中断していた時期もありましたので、単純に5年半かかったというわけではありませんが大きな労力を割いたのは紛れもありません。

まだまだ不備があることは自覚しておりますので、ここでいったん完了とは言え随時修正・加筆を行ってよりよいものを作り上げていくつもりでいます。

そして、私のこの労力の代償としてこの初級講座が少しでもみなさんのVBの役に立てれば、論理的思考の役に立てればこれほど嬉しいことはありません。

人間として考える力を十分に養って人生を実りある豊かなものにし、次の世代にもつないで行きましょう。