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第8回 ヘルプの使い方
この記事が対象とする製品・バージョン (バージョンの確認方法)
Visual Basic 2005 | ◎ | 対象です。 |
Visual Basic.NET 2003 | ○ | 対象ですが一部画面・操作方法が異なる場合があります。 |
Visual Basic.NET (2002) | ○ | 対象ですが一部画面・操作方法が異なる場合があります。 |
Visual Basic 6.0 | × | 対象外です。 |
現在ではヘルプの使い方は少し変わっており、ここで説明している内容は古くなっています。(2012年5月13日追記)
概要 ・VBのヘルプは「MSDNライブラリ」に掲載されている。 ・MSDNライブラリの見方・操作法。 ・プログラム中に F1キーを押すだけでヘルプが見られる。 ・MSDNライブラリは役に立つ情報が満載。 |
VBはプログラム言語の中ではかなり有名な言語ですからいろいろなところで情報を入手できます。雑誌、書籍、WEB、ヘルプなどが代表的な情報源です。
今回はこの中でもヘルプの使い方を説明します。
今回説明する内容はかなり重要です。必ず一読することをお勧めします。
VBのヘルプはC#など他のマイクロソフト製品のヘルプと一緒になっていて、これらをまとめて「MSDN ライブラリ」と呼びます。MSDNはMisrosoft Developer Networkの略らしく「エムエスディーエヌ」と読みます。
単純なヘルプのほかに記事やコラムなど2GB近いさまざまな技術資料が収録されているのが特徴です。
また、 MSDNライブラリには 日々、新しい記事や新しい翻訳が追加されています。WEB版はこのような更新をいち早く反映しています。CD(DVD)版は3ヶ月に一度 くらいのペースで新しくなります。ですから、同じMSDNライブラリでも「2003年10月版」、「2004年1月版」のように区別する場合があります。
最新版が欲しい場合はマイクロソフトのサイトで検索してダウンロードします。ダウンロード自体は無料ですがサイズが大きいので少し時間がかかります。
参考にVisual Studio 2008付属版のダウンロードページへのリンクを貼っておきます。製品に付属している版は「何年何月版」のような表現はしません。(これがわかりやすいのかわかりにくいのか…なんとも言えません)
環境ごとにMSDNライブラリの状況が異なりますので表にまとめておきます。
環境 | 特徴 |
Visual Basic 2005 Express Editionをインストール | 簡易版のMSDNライブラリがインストールされます。簡易版でも十分な情報量ですが、完全版が欲しい場合は別途MSDNライブラリを入手してインストールする必要があります。 |
MSDNライブラリをインストール | 完全なMSDNライブラリがインストールされます。3か月に1度くらいのペースで更新されるので、常に最新にしておきたい場合はときどきマイクロソフトのサイトをチェックします。実際には1年に1回くらい更新すれば十分です。 |
Webサイト(http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/default.aspx)にアクセス | インストール不要で常に最新のMSDNライブラリが見られますが、完全版とは少し目次の構成などが異なります。また検索機能も使いにくくあくまでも一時しのぎのヘルプという感覚でとらえた方が無難です。 |
Visual Basic 2005 Express Editioをインストールした場合のMSDNライブラリについて補足しておきます。
インストールするときに標準的な構成でインストールをすれば、表にもあるようにこの場合は簡易版のMSDNライブラリがインストールされます。この時MSDNライブラリはWeb経由でダウンロードしてインストールされるようですので、同じようにインストールしてもインストールした時期によって内容が異なります。
VBはさまざまなヘルプが利用できるように作られています。たとえば、Visual Baisc 中学校がVBのヘルプを作成してダウンロードできるようにするなどということも可能になっています。しかし、実際にVBのヘルプを作成しているのはマイクロソフト社だけです。このマイクロソフト社が作成しているヘルプが「MSDNライブラリ」です。 ですから、現実的にVBでは「ヘルプ」と「MSDNライブラリ」は同じ意味と思って良いです。 ただし、グレープシティ社などいくつかのメーカーはVB用の追加コントロールを提供しており、それらのコントロールには独自のヘルプも組み込まれています。このようなものはVBの「ヘルプ」に含めては良いけれども「MSDNライブラリ」ではないことになります。 |
それではMSDNライブラリを使って情報を探す方法を説明しましょう。
MSDNライブラリを表示するにはいくつかの方法があります。というのもMSDNライブラリは情報量が多すぎて目的の情報にたどり着くのが大変だからです。なれればそれでも結構快適なのですが初めのうちは情報の海で遭難する人が多発します。
MSDNライブラリは次のどれかの方法で表示できます。
1.[ヘルプ]メニューの[目次]または[キーワード]をクリックするとMSDNライブラリが起動します。
2.VBの開発画面でF1キーを押すと、MSDNライブラリが起動して該当の項目が表示されます。
これを状況依存ヘルプと呼びます。とても便利に使用できます。 たとえば、Stringというキーワードの説明をみたければ、VBのプログラム画面でカーソルをStringのところに移動してF1キーを押すとMSDNライブラリのStringの説明が表示されます。
「カーソル」というのはマウスカーソルのことではありません。テキストを入力するときのカーソルです。
3.Windowsのスタートメニューから[Microsoft Developer Network] を選択して、「MSDNライブラリ」という名前の付いた項目をクリックします。
4.ダイナミックヘルプを使用します。
ダイナミックヘルプを表示するにはVBの[ヘルプ]メニューから[ダイナミックヘルプ]をクリックします。VB2005のExpress Editionではダイナミックヘルプは使用できませんが、それほどいい機能でもないので残念がる必要はありません。ダイナミックヘルプウィンドウは普段はプロパティウィンドウの下に隠れています。
■ダイナミックヘルプ Stringにカーソルを当てている状態
ダイナミックヘルプを表示している場合は、ダイナミックヘルプに表示されているリンクをクリックするだけでヘルプが表示されます。このダイナミックヘルプの項目は状況に応じて自動的に切り替わります。そのため、遅いパソコンでダイナミックヘルプを使っていると本当に遅いです。
私はヘルプは必要なときだけ見れれば良いと思っているのでダイナミックヘルプの画面は普段は隠しています。しかし、このあたりは個人のお好みでしょう。
どの方法であれ、はじめてMSDNライブラリを起動すると次のような画面が表示される場合があります。
この画面の意味は簡単に言うと、インターネット経由で参照できるヘルプ(オンラインヘルプ)と、パソコンにインストールしてあるヘルプ(ローカルヘルプ)のどちらを優先するかという設定です。
オンラインヘルプは表示が遅く機能も劣るので、通常は「主なソースとしてローカルのヘルプを使用する」を選択します。ただし、ローカルにMSDNライブラリをインストールできない場合などはオンラインヘルプを優先します。
この設定を後で変更するにはVBの[ツール]メニューから[オプション]画面を開いて、[環境] - [ヘルプ] - [オンライン]を選択します。 |
これでOKをクリックするといよいよMSDNライブラリが表示されます。
VBの開発画面からヘルプを起動する場合、設定によってMSDNライブラリの表示状態が変わります。
この設定は[ツール]メニューの[オプション]をクリックして表示される画面で左側の[環境]の[ヘルプ]をクリックしたところにあります。ただし、VB2005 Express Editionでは左下にある「すべての設定を表示」にチェックをつけないとこの選択肢は表示されません。
■ヘルプの設定画面(VB2005 Express Edition)
■ヘルプの設定画面(VB.NET2003)
この画面で特に重要なのは「外部ヘルプビューア」か「統合ヘルプビューア」かの選択です。VB.NET2003以前では「外部ヘルプ」、「内部ヘルプ」と表現します。この設定はヘルプを表示するときに新しいウィンドウを作成するか、VBと同じウィンドウに表示するかを表しています。
この分類で行くと私たちがよく目にするヘルプは外部ヘルプということになります。私も外部ヘルプの方が使いやすく感じるので外部ヘルプに設定しています。
先ほどオンラインを優先するかローカルを優先するかという選択肢についても説明しましたから、ヘルプに関する主要な選択肢には4つの組み合わせがあることになります。
組み合わせ1 | ローカル優先 | 外部ヘルプビューア |
組み合わせ2 | ローカル優先 | 統合ヘルプビューア |
組み合わせ3 | オンライン優先 | 外部ヘルプビューア |
組み合わせ4 | オンライン優先 | 統合ヘルプビューア |
それぞれがどんな感じの画面になるかざっと紹介しておきます。
■ローカルヘルプを外部ヘルプビューアで表示している画面です。私のお勧めの設定です。
■ローカルヘルプを統合ヘルプビューアで表示している画面です。よくみるとVBの開発画面上にヘルプが表示されているのがわかります。
■オンラインヘルプを外部ヘルプビューアで表示している画面です。
■ローカルヘルプを統合ヘルプビューアで表示している画面です。よくみるとVBの開発画面上にヘルプが表示されているのがわかります。
以下の説明は基本的にローカルのヘルプを外部ヘルプビューアで見ることを前提にしています。他の設定の場合は多少表示や動作が異なる場合があります。
既に説明したようにF1キーを押すと自動的にヘルプが表示できて便利ですが、MSDNライブラリの中から自分で情報を探すとするとどうなるでしょうか。
自動で表示されるのだから自分で探す必要はないと思われるかもしれませんが、表示される内容が不十分で追加の情報を探したい場合もありますし、自動で表示されないような項目を探す場合もあります 。、それに、自分で情報を探しているうちに目的の情報よりも良い情報にたどり着く場合もあります。
このあたりの事情はインターネットや本屋と同じです。目的の情報のページを探しているうちに面白いページや予想以上に詳しく説明してくれているページ、わかりやすく説明しくれているページなどいろいろなページに出会えます。しかし、自動的にページに移動する機能があったとしたらこれらの情報を見落とすことになってしまうわけです。
さて、MSDNライブラリでは左側の目次のツリーをたどっていって情報を探します。目次のツリーが表示されていない場合は ツールバーで「目次」をクリックすると表示されます。
目次のツリーはMSDNライブラリの版によって異なる場合がありますが大体似ているので、ここで掲載している画像とあなたのMSDNライブラリとで多少違いがあっても気にしないで下さい。
さて、VB関連のどんな情報があるのかぶらっと見てみましょう。
ツリーから画像を参考にVisual Basicのヘルプを探してください。
■2006年12月版 | ■VB2005 Express Edition版 | ■WEB版(2007年3月3日現在) |
この項目の場所は画像をみればわかるように版によって違いますが項目の中はほとんど同じです。
■2006年12月版 | ■VB2005 Express Edition版 | ■WEB版(2007年3月3日現在) |
中を見ると分かるように、単純なVBの説明だけではなくサンプルや旧バージョンに関するトピックなどいろいろな情報があります。
興味本位でいろいろクリックして実際の記事をみてみてください。
初心者には難しい専門用語がならんでいたりはしますが、とにかくいろいろな切り口で一生懸命説明しようとしてくれている熱意はわかります。
とはいえ熱意だけではこちらも困ります。VBのキーワードに関する情報を探してみましょう。
VBのキーワードに関する情報は「Visual Basic」 - 「リファレンス」 - 「Visual Basic リファレンス」以下にあります。
たとえば、ここからさらに「関数」 - 「関数 M 〜 R」と進んでいくと、おなじみのMsgBoxなどの説明が見られます。
では、テキストボックスにテキストを追加するAppendTextメソッドの説明を探してみましょう。AppendTextメソッドの使用例は入門講座の第5回メソッドとプロパティで登場しましたが、その記事を読んでいなくても構いません。今は情報を探す方法を勉強しましょう。
先ほど「関数」のところにMsbBoxの説明がありました。AppendTextもこの近くに あるように思ってしまうかもしれませんが、実は全然違う場所にあります。一体AppendTextメソッドはどこにあるのでしょうか。
こういうときは、「キーワード」を利用しましょう。キーワード画面で検索する文字列にAppendTextと入力すると一覧にすぐにAppendTextメソッドが出てきます。
■全部打たなくてもAppendTまで打てばこの画面になる。
キーワード画面はヘルプ画面で左下のタブを切り替えるか、ヘルプのツールバーで[キーワード] をクリックすると表示されます。
Web版の場合はキーワード画面はありません。代わりに検索を使うことになりますが、ちょっと使いにくいです。
■WEBでは「検索」ができるだけ。ちょっと使いにくい。
さて、一覧からAppendTextメソッドをダブルクリックしてもすぐには説明は表示されません。こんどは次の画像のような選択肢が表示されます。
■AppendTextの該当
これは、AppendTextという名前のキーワードが全部で 4つあることを示しています。この中からどのAppendTextメソッドの説明を見るか選択しなければなりません。
そうは言っても知識がないうちはどれだかさっぱりわかりません。TextBox(テキストボックス)の機能の大部分はTextBoxBase(テキストボックスベース)の機能であるということを知っていればTextBoxBase.AppendTextメソッド を選択してみることでしょう。
そうすると「テキスト ボックスの現在のテキストにテキストを追加します。」という説明が表示されるので、これで間違いなかった「らしい」ということがわかります。 スクロールすると下の方には使用例もあったりするのでなかなかありがたいです。
■AppendTextメソッドのヘルプをようやく表示したところ
ところで、このAppendTextメソッドの説明が目次で言うとどのあたりにあるのかは気になります。「目次 と同期」ボタンを押すと目次の該当位置を表示してくれます。
■目次と同期ボタン(2006年12月版) | ■目次と同期ボタン(2002年4月版) |
■同期後の画面
たしかに該当の目次の位置が表示されるのですが、ツリーが巨大すぎて全体の中のどの位置なのか分かりません。
実はAppendTextメソッドの説明は .NET Framework の中のクラスライブラリリファレンスの中にあります。
その場所は次の画像を参考にしてください。
■2006年12月版 | ■VB2005 Express Edition版 | ■WEB版(2007年3月3日現在) |
この「クラス ライブラリ」から「System Windows Forms」 - 「TextBoxBase クラス」 - 「メソッド」 - 「AppendText メソッド」とたどっていくことになります。
■AppendTextメソッドにたどり着く
「TextBoxBase クラス」の上に「TextBox クラス」というものがあります。今我々はテキストボックスのAppendTextメソッドを調べているので何も知らないで目次をたどっていくと「TextBox クラス」の方を選択してしまいそうですが、「TextBox クラス」 - 「メソッド」の中にはAppendTextはありません。そのかわり「TextBox メンバ」という項目があり、この中の一覧にはちゃんとAppendTextメソッドが掲載されていて、クリックするとTextBoxBaseクラスのAppendTextメソッドの説明が表示されます。
ですから、何も知らないで自分で調べているときは「…メンバ」という項目から調べるようにしましょう。
長々と説明しましたが、前にも書いたように本当にAppendTextメソッドの説明だけ見たい場合はカーソルをAppendTextメソッドに合わせて F1 を押すだけです。うまく使い分けてください。
ところで、AppendTextメソッドの説明がVBのリファレンスではなく .NET Framework (「ドットネットフレームワーク」と読む)のクラスライブラリのリファレンスに掲載されているのには理由があります。
VBで使えるテキストボックスやボタンなどのコントロールはVB専用のコントロールではなく、C#やC++など他の .NET言語と共通のものなのです。この共通の部分が .NET Frameworkです。それでテキストボックスなどの説明はVBのリファレンスではなく.NET Frameworkのリファレンスに載っているのです。
これ以外にもVBで使っているさまざまな機能が実は .NET Frameworkの機能です。ですからヘルプを探すときもVBだけではなく.NET Frameworkのヘルプも探す必要があります。
Visual Basic | Visual C# | Delphi 2006 | その他の.NET言語 |
.NET Framework |
■.NET Frameworkと .NET言語の関係
それで、AppendTextメソッドの説明もいろいろな言語で書いてある場合があります。
■通常のヘルプは最大でマイクロソフトの5言語で書かれている。他の言語の勉強にも利用できそう。
掲載されているサンプルもいろいろな言語で書かれています。
しかし、我々にとってVB以外の説明は邪魔、かえって画面が狭くなって見にくいので、VBの説明だけ表示するように表示範囲を絞ることができます。
表示範囲を絞るにはフィルターをクリックして、Visual Basicをクリックします。
■フィルターでVisual Basicの分だけ表示させることができる。
逆にもしC#の分しか表示されていないようなことがあれば、フィルターをいじってみてください。
今度は機能から説明を探してみましょう。たとえば、サウンドを再生するにはどうしたらよいか調べてみましょう。
この場合はF1の状況依存ヘルプやダイナミックヘルプでは役に立ちませんから、MSDNライブラリの検索術が問われます。
まず、VBの[ヘルプ]メニューから[検索]をクリックして、MSDNライブラリの検索画面を呼び出しましょう。MSDNライブラリのツールバーで検索をクリックして検索画面を呼び出すこともできます。
■ツールバー
今回は単純に「サウンド」と入力してみます。すると次の一覧が表示されます。
MSDNライブラリは複数の情報源から検索を行います。右の赤い枠で囲ってある部分は情報源を表しています。ローカルのMSDNライブラリでは「サウンド」という検索では500件がヒットしたことがわかります。と言っても500件が上限なのでこの場合は500件以上ということになります。ヒット件数が多い場合にはキーワードを追加してさらに絞り込んでみるとよいでしょう。
この画面を下の方にスクロールしていくと、それらしい見出しの項目が発見できます。
すばり「方法:Visual Basicでサウンドを再生する」とあります。クリックして情報を表示してみましょう。
ただ、残念ながらこの記事は多分2006年1月版あたりで追加された記事のようでして、昔のバージョンのMSDNライブラリにはありません。
念のために言っておきますが、こんなに簡単に情報が見つかるのは非常にまれです。
■サウンドを再生させるサンプルコード
表示させてみるとばっちりサンプルコードが載っていますし、日本語での解説もあります。
このようにMSDNライブラリには単純なキーワードの説明以外にもさまざまと役立つ情報が載っています。
MSDNライブラリには膨大な情報があります。暇なときや仕事の気分転換にコーヒーでも飲みながらMSDNライブラリをあさってみてください。以下で紹介しているトピックは当然WEB版にも掲載されています。
■コラム 「10行シリーズ」は要点をしぼった短いサンプルを題材にいろいろな参考になる情報を提供してくれます。
■SQLなどVB以外のコンピュータ関連の技術解説も豊富です。
■その他にもさまざまなコラムがあります。書店で本を探すのと同様にMSDNライブラリで記事をあさってみてください。